ポエム「KINⅡKUN」




もし中山きんに君 が


本当は家から一歩も出たことのない誰かが作りだしているCGなら
うじうじネチネチした性格で友達もいない誰かが 作り出してるCGなら
私はとても生きる勇気が湧くだろう

笑っているようで笑っていない瞳に自分を重ね合わせて
いろいろなことをうやむやにする
食べもしないスパゲッティを永遠に茹でる


きんに君のすべすべした白い肌は彼女の渾身の自信作であり
あのテクスチャにするために 92通りの肌を作り上げた(筋肉にかけて92)

彼女は家から一歩も出ることはなく 日常をamazonでまかない
世界安寧のため 機織りをする 鶴のように
カタカタカタと きんに君を作り上げる




私は彼女の代わりに筋トレをします

ジムに行くと きんに君のことを想って
筋トレをしている人々がちらほらいます

お互い声をかけることはしない けど
エールを送り合う そういうささやかな触れ合いに 心が震えます

ああ 奥ゆかしい 自分達が ほこらしい
そういう自分だけは心から好きだと思える

ああ すべての内臓があたたまっていく




人はギャップに弱い
インパクトに目がくらみ 冷静さを欠く

私達は本当にどうしようもない人間
どうしてそうなんだろうと何度考えても
山幸彦!海幸彦!と 叫んでも 答えなど ない

だけど すっと消えられるわけでもない

のびたが見た 夢のドラえもんのような きんに君は
かしこくて すばっしこい大人の考えた 策略なのかもしれない

私達は 頭のよい人たちに簡単に侵入されていく
せめてすてきでかっこいい人たちに栄養をあげましょう
そういう殉職でしか もう生きていけないのかもしれない

だから自転車のペダルを漕ぐのをやめることなんてできない
大小の車輪が回る中 私はプロテインいちご味を飲み干す





最近ファンデーションを変えました
首と顔が明らかにちがっていてもまわりも私もさして気にしていません
もちろんきんに君の肌の色に合わせた

イエローベースとブルーベースを混ぜた色味
青っぽくて黄色っぽい
でも緑色っぽくはない


見渡すと首と顔の色の違う人たちが しゃくしゃくささみを食べている
お互い目が合うとほんの少し マイクロ分の1くらい少し 微笑み合う


さすうすさすうすさすうすさすうすす


あたたかでささやかな気配が この世の広さを示し
迷わず私は粉チーズをにぎりしめ 手関節屈曲筋群を鍛える

 



今日も彼女はきんにくんを作っている

時おりポテチを食べていたり サイゾーウーマンを読んでいたり
オナニーをしていたり 鼻くそをほじっていたり
古いアイドルのYOUTUBEを見ながら 口ずさんでいたとしても
私はちっともがっかりしない

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