なぜ奥田民生が性転換になったのか(1)

事の発端は高校の音楽のとき。
好きな曲をそれぞれグループになり演奏発表するという授業で
野球部の男子が奥田民生の「愛のために」を歌った。

元気、人気者、彼女はスクールカースト上位という日の当たる彼が
俺のBサイドを見せてきた。後ろポケットに手をつっこんで。

なんか心がモヤモヤした。
Aサイドで十分なのにBサイドまで!?と思った。
でもいい曲だし結構歌うまいし少し感動する自分もいて。
なんだろうこの感じ?と思っていた。

それから男性がカラオケやコピバンで
「色々あるけど生きていこう」的な曲とか
奥田民生を歌うたびモヤモヤした。

発端が動きだしたのは会社の忘年会。
普段クールな上司がファンキーモンキーベイビーズを熱唱。
めっちゃ汗かいてた。
色々背負って生きてるねんなあとじーんと来た。

帰り道、モヤモヤが全身を襲った。
もし私があれをやったら、
女で平社員で子供もおらず仕事でも生活でも
そこまで苦労してない三十路の私が
あれをやったらこんなに人の心打ったんだろうか??
(別に人の心打ちたいわけじゃないけど)

でも私だって世知辛いことやつらいことあるねんけどなああ。
日々のむなしさに完敗しちゃうことだってあるねんけど!!
もし他の女性が同じことをやったら私や周りはどう思うのだろう。

必死やな〜、生活臭にじみでてる、脇汗やばーいとか思ったり
ちょっとひかれたりするのではないか・・・??
女性にはそういう文化とか受け皿ってまだ少ないのかも。
※都会には充実してるのかもしれないけど片田舎ではそんなにない。

女性に対する見方は男性よりバリエーションが少なくて
美醜、若さ、母性、エロスに集約されがちな気がする。
自分はそこまで意識してなくて、そんなの関係ないと思っていても
そういうふうに意識せよと仕向けられる何かがある。

そしてそういう消費やメンタリティをぶつけてくる。
もっとそうでないバリエーションがあったらいいのに。
せめてそういう歌がもっとあったらいいのに。
そう考えたらムカムカしてきた。

ああ、社会のしょっぱさや
日々のむなしさにまみれた女性同士肩を組んで歌いたい。
この長年積み上げられた苛立ちを大声で歌って発散させたい。

奥田民生は嫌いでないのに民生歌う男性にモヤモヤするのは
女の奥田民生的存在の不在が原因かも。
それは表層で奥に何か根深いものがあるのかも。

男には奥田民生がいてすごくうらやましいと思う。
どんな人が歌ってもじーんと来そうだしポップだし生活臭あるし。

奥田民生みたいな女の人がいたらなあ。奥田民生の女版って誰なんやろ。
有名どころのユーミンはカリスマが強すぎるし
中島みゆきは求道者過ぎるし、なんか違う気がする。
別に曲を聴きこまなくても歌えてキーも高低が過ぎず歌いやすい。
歌詞もいいこと言ってるけど重すぎず軽すぎないという歌手って誰??
私は周りの友達に聞きまくった。




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